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消えないうちにとさっき見た

    
夢のあとを 追ってみた


    
けれども夢は綿毛のように

    
ふわりとこの手を よけてゆく


    
気づけば僕は駈けていて

    
そして僕は泣いていて


    
知らない顔した青い空を

    
ただ ひとり 見つめていた


    
綿毛のようなあの夢は

    
消えながら そしてかすかに


    
かすかに僕に微笑んだ
2014.03.24 
警察官に止められる




  夕方のこと、僕は晩ご飯にほか弁でも買おうと思って

  車で出かけた

  運転してると途中で警笛がなり、若い警察官に止められる

  何事かっ??また何か逃走犯でも出たのか??などと思い

  僕は真剣な眼差しで若い警察官に尋ねた

  何かあったのですか

  えー、只今、シートベルトの未着用の検問をしてまして・・・

  ????

  僕はそのとき、何のことかさっぱりわからなかった

  だって僕は、ちゃんとシートベルトをしていたからだ

  互いにわけが分からずに、へんな空気と時間が流れた

  やがて若い警察官が「・・・あぁ、シ、シートベルト、してますね

  服の色が同じで未着用と思いまして・・・・」と、バツが悪そうに説明した

  確かにそのとき、僕はシートベルトと似た色のジャケットを着ていた

  若い警察官は「どうもすみませんでした」と謝った

  僕は「どういたしまして」と言って、ま、こんなこともあるんだなと

  苦笑いしつつ、車を進めた


  でも、そのすぐ先で、また警察官に止められた。こんどは強面のおじさんだ

  僕はまた、車をとめる。怖い顔した警察官が近寄ってくる

  あなたは先ほど、シートベルトをしていなかったということで調べています

  運転免許書を見せてもらいますか?

  また、僕は呆然とした。なんで???ちゃんとシートベルトをしてたのに・・・

  すると、すぐ後方から先ほどの若い警察官が「すみませーん」と大きな声で

  駆け寄ってきた

  「すみません、その方は違うんです!!」と息を切らしつつ説明してくれた。

  強面のその警察官は「え?なんだ、違うの??えぇー??

  あぁ、す、すみません、うまく伝わっていなくて・・・と

  頭をかきながら僕に謝った

  さすがに僕もここまでくるとどういたしましてという

  軽い気持ちにはなれなくて、何も言わずに

  少々、不機嫌な態度でその場を後にした


  なんか、ついてないなぁ・・・と思った

  こんなついてない時は、今までの経験上

  必ず決まってまた何かよくないことが起こると思い


  ほか弁は買わずに、さっさと自宅に帰った


  やれやれ なんてことだ

  今にして思えば、確かに警察側の不手際だったけど

  ちゃんと謝ってくれたんだし、自分がいつまでも嫌な気分を引きずることはない

  ま、これはこれで安全運転の意識付けになったんじゃないかと、思うことにした

  それにしても・・・

  もっと広い心を持てたらいいのに・・・と自分に今更ながらに思う

  ちゃんと非を認めてる相手には「いえいえ、大丈夫ですよ。お勤めご苦労様ですと

  そんなふうに言えるくらいの広い心の人間になりたいなぁ


  などと少し反省をしつつ、カップラーメンを食べる僕だった
2014.03.02 

哀しみは きみをひとりにはしない


   
ひとりにしているのは 実はきみのほう


   
簡単だよ それが分かれば


   
心配そうにしている 誰かに


   
きっと きみは 気づくから
2014.02.10 
歯が抜ける夢を見た

   
しかも全部、ボロボロと

   
その前後の状況は忘れてしまったけど

   
実に生々しくて、歯のいくつもの固い感触まで覚えている

   
さすがに嫌な予感がして、ネットでその意味を調べてみた

   
歯が全部抜ける夢は不安定な心理状態にあるとあった

   
そりゃそうだろう。幸せ真っ只な人が歯がボロボロ崩れるような

   
そんな不吉な夢は見ないだろう

   
もっと具体的に知りたかったのだけど、所詮は夢だ

   
正確な意味など、わかるはずはないだろう

   
でも、確かにその日は仕事でとても嫌な思いをしたし

   
誰もみんな、自分のことだけで精一杯なんだよな

   
人のことなんて、そんな余裕はないんだよなって

   
確かに今の自分がそんな自分なんだって気がついて

   
なんだかあきらめたような気持ちだった


   
あぁ、でも、今思い出した

   
そのあと、いい夢も見たんだった

   
僕はとてもきれいな風景を夢の中でよく見る

   
まるでジブリのアニメのような輝く自然の中で

   
それを写真に撮っている夢をよく見る

   
そのときも、そんな夢を見たんだった


   
つくづく思うけど、人生はいいことと、悪いことと

   
それは必ずセットでないと、成り立たないんだろうなと

   
いい時は、悪いことがあるかもしれないことを心に留めて

   
悪い時は、いいことがあることを忘れないようにして

   
そうすれば、この人生は、意外と単純に歩いてゆけるのかもしれない

   
昔の歌も、昔の本も、そんなこと歌ったり書いたりしているように

   
それはたぶん、真実なのだろうな・・・

   
なんてね、ため息混じりに思ったりしている

   
とりあえず、いいこと、わるいこと、こぼさずちゃんと受け止めて

   
明日は明日の風が吹く。そんな気持ちを忘れないでいよう


   
さて、今夜はどんな夢を見るのかな

   
出来ればまた、トトロの静かな森の中で、虫の音を聞いていたいな・・・

   
でも、そう思ったときに限って、高いところから落ちる夢を

   
見たりするんだよなぁ。地上に落ちた瞬間にビックリして

   
1センチくらい飛び上がって起きちゃったりするあの感覚・・・

   
うわぁ、今、リアルに思い出した


   
ふぅ。やれやれ

   
とりあえず、また、こんなふうに、僕のうわごと日記は続く
2013.07.24 




風のない国があった

空には鳥は飛んでいない。地には花は咲いていない

海には小さな命もなく、波はその歌を忘れていた



風のない国があった


それが過去なのか未来なのか


今はもう誰も語ることは出来ない



ただ、時が終わるのを

いつか見たものが、これを想うだろう





ある晴れた7番目の朝、風を売っているという街へ

きみと僕は、ふたりで出掛けた



それはいつか二人が交わした、かけがえのない約束だった



「ねぇ、風を買ったらどうする?」



誰もいない渚の駅で、スキップするようにきみはベンチに座り

手すりに見つけたかわいい落書きに小さく微笑みながら僕に聞いた



僕は時刻表を見ながらも「きみはどうするの?」と同じことを

僕を見上げる彼女に尋ねた

(だって、きみは聞いて欲しそうな顔で僕をじっと見ていたから)



きみはもう、待ちきれないといった様子で、それでいて

背筋をピンと伸ばしてずっと、その手に温めていた夢を、

世界中の人々に誓うかのように、少し大きな声で僕に語った



「ねぇ、他の人はきっとバカにするでしょうから、あなたにだけ

初めて言うのよ。私はね、その風で空を飛ぶの

あの空を飛んで鳥になりたいの!それが私のとっておきの夢なの!」



陽だまりに、きみの白いワンピースが輝いている

その小さな胸のふくらみに、夢がつまってるみたいに見えた



空を見上げながら話すきみは、すっと立ち上がって

両手を広げ、その瞳を閉じている



心はもうあの空の上にいるつもりらしい





「鳥なんて、想像上の生き物だよ」



突拍子もないその夢に、僕は少しあきれて答える

彼女のために、無理だよという言葉は控えたけれども

残念ながら現実は、そんなにきれいなものじゃない



「でもね、あの空に何もないなんておかしいと思うの

私たち人間しかいないなんて、なんだかとても寂しすぎるわ。

本当は空だって、海だって、命にあふれてたんじゃないかしら」



きみは砂を手にすくいながら、その隙間からこぼれる様を

(まるで自分に言い聞かせるように)見送りながらそうつぶやいた



「そうかなぁ。僕は違うと思うけど」



きみには悪いと思ったけど、それが僕の素直な感想だ

空はずっと空であって、何もないのがあの空でしかない





海のホームで僕達は、やがて次の路線に乗り換えて

そうして半月のような太陽を背に、56番目の砂漠の駅で

その念願の風を買った



風を空にかざして君は、まるで子供のようにうれしそう

さっきまで、僕の言葉に少しご機嫌斜めだったきみは

そんなこと、とっくに忘れたかのように、一所懸命にはしゃいでいる





「あぁ、これが”風”なのね!ねぇ、これで、空を飛べるはずだわ!

ここから飛べは私たち、きっと、空を飛べるんだわ!」



きみは高く透き通る声で、そんなふうに力いっぱい叫んでた



そんなきみを見たくて僕は、確かにココにつれてきたのだけど

でも、どこか何かが少し違ってるような、そんな気がして

僕はそんな君に少し、冷静に話してみた



「確かに昔、人は風で空を飛べたらしいけど

でも、どうして飛ぶ必要があるの?僕達は、いつだってこんなふうに

地上から、どこにでも行けるし、時間だってかからない

誰も不便に思わないし、そんなふうに考えたりもしないのに・・・」



「あなたは何もわかってないのね。

確かに地上にいても、私たちは、何の苦労もないけれど

でも、何の苦労もないことが、果たして本当の幸せかしら?

そうして気付かずに失くしたものが、私たちにはたくさん

あるんじゃないかしら?」



きみはそんな不思議なことを言った

そんなこと、僕にはわからない

便利な道具は僕達の、周りにいくらでもあふれている

それらは確かに僕達を、幸せにしてくれているはずなんだ



きみはこの丘の上から、今すぐ空を飛ぶんだと言う

そんなこと、僕達は、今まで一度だってしたことがない。

そうする必要が今までなかったから

そうすることで、どうなるのか?僕には想像もつかなかった



「どうなるのかわからないのよ

私、ひとりが飛ぶからあなたは・・・」と

きみは言いかけたけど、そんなこと、僕が許さない

僕はそれでもはじめから、君と一緒に飛ぶことに決めてたんだ



きみはあきらめたように、僕の右手を握って

そして、もう片方の手には、それぞれその風”を握りしめた



君はためらうこともなく、ちらっと僕の顔を見ると

突然、握った手を離して、そして丘から飛び降りた



きっときみははじめから、そうするつもりでいたのだろう

でも、僕は少し遅れながらも、きみを追うように飛び降りた

あのとき怖さとか痛みとか、そんなものは僕達には

もうすでに何もなかった



それは彼女が言った”気付かずになくしたもの”のひとつ

なのかもしれない







僕達はただ、落下して行った



風もなく、空を飛ぶこともなく

彼女の夢も叶うことはなかった



やがて地上に着いた僕たちの

体は激しく叩きつけられ、そして壊れていった



その体から血は流れることもなく、きみの破れたワンピースからは

複雑な電子回路の部品が、三日月のように突き出ていた

きみはもう、二度と、立ち上がれそうになかった





・・・何かが見えるわ

きみがつぶやいた

僕はもう、喋ることも動くこともできず、ただ、きみを見つめていた



鳥が・・・鳥が空を飛んでいるわ・・・



それははるか遠い記憶の、小さな小さな断片だった

・・・・頬を何かが撫でている・・・あぁ、これが風なのね・・・

きみの言葉がだんだんと小さくなる



ねぇ、私、空を飛べるわ

きっと、これで、そらを・・・あれ?・・・だんだん白くなってゆく

言葉が・・・・あなたが透きとおって・・・ゆく・・・



ねぇ、わたし・・・









そして、きみは止まった





僕はいつしか思い出していた

僕達人間は、永遠の命を得たけれど

いつしかそれさえ忘れるほど、時が流れていったことを



僕の視界も、だんだん透きとおってきた

風景が滲んでいる。とっくに僕らがなくした涙が

僕の瞳からこぼれている



それは僕の心が君を、求めた最後の奇跡かもしれない





きみが買った風は君の右手に優しく握られていた

そして、いつしか僕も止まった



僕のこの意識だけ残して・・・



時が流れ、また、新たな命が生まれ

そして、本当の風が生まれた



菜の花が咲く公園で、小さな女の子がきみの

買った風を見つけていた



「ゆりちゃん、どうしたの?」

「お母さん、これ何?」

「え、どこにあったのそれは?」

「砂場の中にあったの」

「ふうん、誰かが忘れていったのかな?」

女の子のお母さんはそういいながら、軽く息を吹きかけた



「わぁ、面白い!くるくる回ってる!」



「ほら、風でね、まわるのよ」





気持ちよさそうに、

風とともに遊んでいるそれは

きみとあの日、二人で買った



赤い風ぐるまだった


風のない国があった

空には鳥は飛んでいない。地には花は咲いていない

海には小さな命もなく、波はその歌を忘れていた



風のない国があった

それが過去なのか、未来なのか

今はもう、誰も語ることは出来ない
2013.06.15 
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